現在、食の安全と環境保護への強い関心が高まる一方、生産現場では化学農薬防除による薬剤抵抗性問題や農薬取締法改正による農薬再評価導入を受け、総合的害虫管理(IPM)が注目されています。このことから、中期事業 3 ヵ年計画で天敵保護装置「バンカーシート」を用いたIPMの普及に取り組んでいます。
■天敵保護装置「バンカーシート」の種類
バンカーシートには、ハダニ類を捕食するミヤコカブリダニパック製剤を用いた「ミヤコバンカー®」とコナジラミ類、アザミウマ類を捕食するスワルスキーカブリダニ製剤を用いた「スワルバンカー®ロング」があり、抵抗性を発達させやすい害虫への高い効果と化学農薬使用回数低減が期待できます。


■天敵を利用した防除の実態と効果
天敵利用は、天敵の使用タイミングが難しいことや併用可能な化学農薬が限られていることが課題です。バンカーシートは、天敵パック製剤を耐水紙で包んだものであり、気温・湿度の環境変化を和らげ、農薬や散水で天敵パックが濡れることを防ぎ、天敵が生存しやすい環境を提供することができます。また、天敵パック製剤とともに使用される天敵の産卵基質および保湿資材により、長期間にわたり天敵カブリダニが放出されるため、圃場に害虫が発生する前から設置することが可能となります。
■バンカーシートの普及拡大への取組み
肥料農薬課ではJA・県行政の協力のもと、県下約 10 カ所で夏秋イチゴや加温ぶどう等を中心とした試験を実施しています。結果、夏秋イチゴでは設置タイミングの課題が残るものの、加温ぶどうではカブリダニの定着も見られ、防除使用回数の減少や農作物へのハダニ被害の低下により、一定の効果が得られました。

夏秋イチゴの試験設置状況
なお、普及面積は R7 年度 890a (R6 年度 832a)で伸長しており、本年は全国域を対象としたIPM研修会が長野県で開催される予定です。
今後は試験結果の検証と調査、定期的なフォロー巡回の実施を継続して行い、更なる普及拡大を進めてまいります。

加温ぶどうの試験設置状況

現地研修会の風景